【感想】小説版 新 感染ファイナル・エクスプレス

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『新 感染』の続編映画『新感染半島(반도 / Peninsula)』の公開を前に、ふと、そう言えば小説版って読んでいなかったな~と気づいたので4連休中に読んでいました。



私は映画館でも観て、家でも気が向いたらDVDを流している程度にこの映画が好きなんですけど。
映画中になかった人物描写や、DVDのコメンタリーで監督たちが言ってなかったこと、<感染者>に噛まれてから起こる身体の変化についての描写など……「おおっ!?」と感じたところに付箋を貼っていったらこれくらいになりましたㅎㅎ


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なので「映画を何回も観てるし今さら読んでもなぁ」という人にもオススメしたいなということでこのブログを書いています^^


収録内容

ハイライトシーン写真(まぁ文庫版なんで小さいです)
登場人物紹介
ソウル発→プサン行 KTX路線図、KTX解説、出発時の乗客の位置
小説本編
ヨン・サンホ監督インタビュー
VFX解説
クランクアップ時の写真(モノクロ)



登場人物のこれまでの人生について詳しく書かれている

小説版の良さは映画内では描かれなかった各登場人物のバックボーンが全部書かれていました。

「大変だっただろうなぁ……」
サンファが何気なく口にした一言に、一心不乱に作戦の事ばかり考えていたソグが顔を上げ、サンファをまじまじと見つめた。 大変だったな……。 その言葉を最後に聞いたのはいつだっただろう? 周囲の人間は、ソグが仕事に打ち込むのを当然のことと考えていた。 ソグ自身でさえ、そう考えていた。
ソグはぼんやりと考えた。 大変だったな。 そんなこと、誰も言ってくれなかったのに……。 そう、そうなんだ。 その言葉。 その言葉が聞きたかったんだ。

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[https://tv.naver.com/v/979401:title=画像 [부산행] 캐릭터 예고편 ]

コン・ユ演じる主人公ソグがどうしてあんなに冷徹な仕事人間になってしまったのかというと、それは父親の存在が影響していて―
この出来事を通じてスアンちゃんとも気持ちが通じるようになりましたㅠㅜ




格闘技の道場を運営し、鍛え上げられた肉体の持ち主であるサンファとソンギョンは、一見、不釣り合いに見えるかもしれない。 しかし、その実不思議なくらい、似合いの夫婦だった。

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コメンタリーではサンファはデザイナーって言われてたんですよね。
でも、小説版では見た目通り格闘技道場主ということです。
この夫婦の別れのシーンは今でも涙なしには観れないんですが、ふたりの馴れ初め(大学時代)も描かれています♡
本当にソンギョン一筋のサンファは素敵な男性です!!




背が低く、いつもいじめられていたヨングクの代わりに、自分より体の大きな男の子たちに向かっていった上、相手をねじ伏せたこともあった。 その頃から今日に至るまで、ヨングクは周囲から公然と“イ・ジニの男”と呼ばれてきた。

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もうひと組のカップル、野球部のヨングクと応援団長のジニ。
この二人の別れのシーンでもいつも泣いちゃうㅠㅜ
ていうか、お前ら幼馴染カップルだったんかーーーい!
“イ・ジニの男”というパワーワード。
小説版のお別れシーンはもう! もう! 幼馴染カップル定番の流れなんですけどそれでも読みながら泣きました。
本当に「アイツ」が憎い!!ㅋㅋㅋㅋㅋ



「お、おじさん、怖いよ……」
か細く弱弱しい声だった。 ソグは不吉な予感を拭いきれず、ヨンソクをじっと見つめた。 その目が端の方から徐々に白く濁っている。 ヨンソクが一歩、近づいてきた。 両手を合わせ、頼み込むように言う。
「う……うちに連れて行って。お願いだよ」

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みんなの嫌われ者「アイツ」こと、バス会社の常務・ヨンソクおじさん。
彼もソグのように他人を踏みつけのし上がり今の地位を築いた仕事人間だったんですが、彼は釜山の掘っ立て小屋が立ち並ぶバラック街からソウルに出てきた人でした。
会社に勤め始めてからいちども母親に会っていなかったのは、会う勇気がなかったから。
会えば家族がまた自分を貧困時代に引き込むのではないかという恐怖に襲われたから―
おじさんも、大変だったんだなぁ……生い立ちを知ってから映画を観直すと……でも、やっぱりやることサイテーやぞㅋㅋㅋ




それから、冒頭でKTXに飛び込んでくる少女、ホームレス男性、おばあちゃん姉妹のこともちゃんと描かれています。

それぞれ、ドラマや映画によく登場するような普遍的なキャラクターで、韓国社会の中でも実際にいるであろう人たちです。
だからこそ、自分の周りにもいそうな人たちが次々と感染していってしまうのを目の当たりにしていくこの作品が大ヒットしたのだろうと思います。



<感染者>たちの身体的変化についての描写

先ほどのヨンソクおじさんの紹介のところ、何か口調がおかしかったですよね?!
幼児帰りしてるみたいな。
巻末の監督インタビューの他、ネット記事でも読んだ記憶があるのですが、噛まれて<感染>する=自分のよく知る人なのにまったく知らない存在に変わるという部分を強調したいと考え、認知症患者の症状を参考にしたそうです。
脳に異常が生じることでおかしな記憶が浮かんだり、子どもに戻ったり、本当の心情が露出したり。
ということで、ヨンソクおじさんは貧困時代(子ども)に戻ってしまってたんですね~。


あと、<感染者>になると歯が変型するぽいです。
それでがっつり噛むんですね。
噛まれた部分は血管が浮かび上がり瘤ができたみたいに腫れあがって……ジンジンしそう。
以前、猫に噛まれたことがあって傷口がジンジン腫れたことがあったのを思い出しましたㅠㅜ



『新感染半島』に続く描写

“仁川工業団地 軍部投入 全面閉鎖”
“〇〇グループ、〇〇グループ役員、全員出国”
“本日九時、戒厳令発令予定”


KTXがソウルを出発後、天安牙山駅を通過し大田駅に向かう最中にお偉いさん方は国外に脱出を始めたり、戒厳令が発令されようとしたり―
『新感染半島』の世界は、正体不明のウイルスが蔓延した末に国家機能も崩壊し韓国が人が住めるような場所では無くなった、というところから始まります。
軍が動き出し、お偉いさん方(政府官僚も含むでしょう)が逃げ出し……ということが早い段階から起こっていたんですね。


もうひとつ。
最後にスアンが泣きながらアロハ・オエを歌っていたことで救助されるシーン。
ここで歌われていたアロハ・オエって別れの歌だったんですね。
以前、コメンタリーを聞いた時に知りました。

カメハメハ大王により統一されたハワイの島々がアメリカ合衆国の領土へと変容していった時代。
アメリカをもとに築き上げられるハワイ共和国への反逆の容疑をかけられ、宮殿に幽閉されることになった王女がなくなっていく祖国への思い、国民への思いを込めて作った歌とも言われています。

黒雲が空を覆い
別れの日は来た
また会う約束をして
別れて行かん

アロハ・オエ
アロハ・オエ
花咲く季節に 再び会わん
アロハ・オエ
アロハ・オエ また会う日まで



この歌を歌えば会えるというのなら喉が裂けるまで歌おう。
父親への思いを歌ったアロハ・オエであることはもちろんです。


でも、『新感染半島』という作品が作られた2020年の今、このシーンを観ると、ウイルスを発端に滅びて行く韓国への哀歌とも取れる気がするんですよね。
『新 感染』のロケハンをした時に廃墟みたいなところを見つけて後で撮らなければ、とは思っていたらしいです。 その構想(?)もあってアロハ・オエを選んだのかは私にはわかりません。あくまで今、感じたことです)


『新感染半島』は『新 感染』とは別物じゃん!というレビューも見かけるんですが、やっぱり「ヨンニバース」作品。
たしかに作風というのかな? めちゃくちゃアクションに振り切っていたり、とかはあるんですけど世界は繋がっていると感じます。
(ちなみに映画『新感染半島』は韓半島が“4年前のパンデミック”発生後どのようにして廃墟の地となっていったかを簡単に説明するところから始まります)



読み終わって思ったこと

改めて『新 感染』の世界を見直せたこと、登場人物のバックボーンが知れたことが何より良かったのですが。
こんな本、『新感染半島』でも出して欲しいです!!!!!!!!!!

ほんと、『新感染半島』ってキャラについての描写があるにはあるんですが、監督がイベントで答えていたように「ビハインドストーリーはドラマ4部作ができるくらいたくさん作った」そうなんですよ。
それを!!
本として出して欲しいですね!!!!!
出ないかなぁ?


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以上、『新感染半島』公開前に改めて『新 感染』を読んでみた感想とオススメポイントの紹介でした。






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