【韓国映画】原作と映画を行ったりきたりで充足感がすごいベスト・オブ・ザ・イヤー【K文学】

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タイトルの通り、原作と映画、どちらも楽しんだ!という作品を紹介する記事です。
2021年上半期の時点で「ベスト・オブ・ザ・イヤー」と謳ってしまうのも気が早いのですが、私としてはそれくらい胸躍る体験ができた作品、3つでした。
『殺人者の記憶法』をメインに、『七年の夜』、『黒山』について書いていきます。



韓国映画が好き
K文学が好き
どちらも好き

という方にオススメしたい3作品です。



殺人者の記憶法

私が韓国映画ってこんなに面白いんだ!と衝撃を受け、興味を持つきっかけになった作品は『新 感染 ファイナル・エクスプレス』でした。
その後「じゃあ、他にも韓国映画を観てみようかな」と意識して映画館に観に行ったのがこの『殺人者の記憶法』。
当時は主演がソル・ギョングだからということは全く意識しておらず、だいぶ後になってから「えっ!これもソル・ギョングだったんだ」と驚いたものです。
映画も最初から最後まで気が休まることのない内容で、エンディングロールが終わってからもしばらく余韻に浸っていたのを覚えています。
その2年後くらいに、たまたま配信で『新しい記憶』を観て「やっぱりそういうことだったんだ」と新たな感動を得て。


そして、今年。
私が今、ソル・ギョングにすっかりハマっているのを知った韓国人メル友さんが「ソル・ギョングさんにハマっているし、本としてもとても面白いので韓国語の勉強にもなるでしょう」とプレゼントとして贈ってくださったのをきっかけに、まずは原書で原作を読むことになりました。
これがまた、「韓国語だけどなんとか読める・・・・・・読めるぞ!」という嬉しさと「こんな物語だったのか!」という驚きに溢れた素敵な日々だったのです。

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韓国語学習はまだまだ発展途上なので、わかったと思っていたのに内容的に意味の取り違え、思いこみをしている部分があったことに邦訳版を読んで気づくこと多々でしたけれど。



韓国語版を読み終えた後に書いた読書ノート。


訳者あとがきによると著者のキム・ヨンハさんは10歳の時に一酸化炭素中毒にかかり、その後遺症でそれ以前の大半の記憶を失った経験があるとのこと。
韓国の暖房は練炭を燃料としたオンドルが主流で、冬には練炭中毒による死亡事故も起こっていました。ドラマでも不注意で家族全員、寝ている前に中毒で死にそうになっていたところ、たまたま夜中に起きた子が異常に気づき換気して一命を取り留めた、なんて場面を観たことがあります。

今回の作品は、いつになく筆が進まなくて苦労した。一日に文章を一つか二つしか書けないことがよくあった。最初はずいぶんもどかしく思えたけれど、考えてみれば、まさにそれが主人公のペースだったのだ。記憶を失いつつある老人ではないか。だから楽に構えてゆっくり書き留めることにしいた。そうして文章を一つずつ書いていたある日、ふとこんなことを思った。


これは私の小説だ。私が書かなければならない。私以外には書けない。
<作家の言葉「これは私の小説だ」より>

疲れた。今日は、ここまで。
<邦訳版本文77ページより>


小説に登場する主人公キム・ビョンスが書く文章は淡々と短く、ユーモラスでもあり、そこに魅力を感じました。
連続殺人犯ではありますが、最後の殺人以降、彼はカルチャーセンターに通い詩を書いて平凡に生きようとしていましたが、アルツハイマーを発症したことにより昔の記憶ばかりが鮮明に思い起こされるー
かつて、自分がもっとも、ひとつのこと(殺人)に没頭し生き生きとしていた時代。
没頭するくらい好きなことは記憶と関係なく体を動かす。
「愛娘ウニ」に起こった「最近の出来事」は何ひとつ記憶にないのに、それまで一緒に暮らしてきた記憶はある。
終盤明らかになる「事実」に、私がこれまで読んできたものはなんだったのかと呆然としてしまいました。


人間は時間という監獄に閉じ込められた囚人だ。認知症にかかった人間は、壁がだんだん狭くなる監獄に閉じ込められた囚人だ。そのスピードがだんだん速くなる。息が詰まる。
<邦訳版本文102ページ>



私は、原書の表紙のイラストが好きです。
邦訳版も、ビョンスにとって残り少ない時間が無常にもこぼれ落ちていくイメージでその通りなのですが、原書の方はキム・ビョンスの記憶がどんどんと縮んでいって、くしゃくしゃと丸まって、最後には点のように小さく小さくなっていって消えてしまう・・・・・・そんなことを連想させるのです。



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「アルツハイマーにかかった、かつての連続殺人犯」というセンセーショナルな設定だけでなく、人間の記憶とは? 存在を定義づけるものとは? そんなことが最後に残る話でした。



原作を読了後に改めて映画版を観てみました。
映像として現れるキム・ビョンスとパク・ジュテ(映画版ではミン・テジュ)の対決はやはり映画ならではで、とても面白く観ることができましたし、アルツハイマーの症状と闘うビョンスの描写も笑ってしまったり、ハラハラしたりの連続。


映画館のシーン、好きなんですよね。
ビョンスと一緒にもどかしさが最高潮に達する“パルパル”シーンも。
あと、ビョンスの衣装が全部かわいかったですね( ◜ᴗ◝)


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『新しい記憶』は改めて観たらすごく新鮮でした!!
最初に観た時は通常版を観てからだいぶ時間が経ってからだったので「えっ、これ、通常版と何か違うところある? ないよね? ほっとんど同じじゃない??? 私が覚えていることは合ってるよね?」と思いながら観たんです。
ある意味、ビョンスのように「記憶を信じるな」と思いながらㅋㅋㅋ
今回続けて観たら、同じシーンでも台詞が変わっている部分があったり、ちょいちょい追加されているシーンが原作にあったものだったり、ミン・ジュテの人格にも“暴力的な父親”が大きく影響しているという描写が強くなっていたり。
そして、通常版で多くの人が感じたであろう「ミン・ジュテはどこに行ったの? 生きてるの???」という疑問の答えも見つけられるはずです。

ラストシーンはある意味、爽快感すら感じられますし、映画は2本観てこそ“もうひとつの『殺人者の記憶法』”の世界を楽しめます。



映画しか観ていない方は是非、小説を。
小説しか読んでいない方は是非、映画を(通常版→新しい記憶)の順で。
どちらも体験してほしい作品です。



七年の夜

私は映画を観た後に原作を読みましたが、順序として正解だったと感じました。


映画の方は、登場人物の背景がかなり省略されていたりもしたのですが、何といっても広大で幻想的な湖、ダムや水害のスケールの大きさを映像で見ておいた方が文章を読む上でもイメージしやすくて助けになります。
登場人物を演じた俳優さんもすごくぴったりだったので、彼らを思い描きながら文章を読み進めていくのも面白かったです。
それぞれのエピソード、ラストでの主人公の人生をかけた超展開は、原作の方が好きです。
映画版は「えっ、チャン・ドンゴン、もしかして純愛?」的に描かれていますが、ぜんっぜん! そんなことないですしね!
なので、原作を読んでいないという方にオススメしたい本です。
厚さはありますが、読み始めたら苦ではないです!


黒山



映画『玆山魚譜』の原作というわけではありませんが、映画鑑賞の前に読んでおいて損のない1冊です。
本の感想は以前、別記事にまとめています。(読書記録
映画はまだ日本での公開はありませんが個人的にVODで購入して観ることは可能です。。。(関連記事




これまで映画は映画だ(そんなタイトルの映画もありましたね)、小説は小説、とどちらか一方だけを楽しむことがほとんどだったのですが、どちらも鑑賞して違いを知ると、自分が感じる世界が広がって面白いなと思いました。





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