今年2月に2021年公開予定の注目作品として発表された作品の中にもしっかり入っていたヨン・サンホ監督の『地獄』。
去年からインタビュー記事を読んで原作漫画も取り寄せていたのですが、積んだままになっていて。
このゴールデンウィーク中にやっと読むことができました(遅)
と言っても、全てのセリフを読んですぐ理解できるまでの韓国語力がまだないので、大部分、絵を追っていったという感じですが。
漫画『地獄』の簡単なあらすじ
ある日突然、人間たちは奇跡なのか呪いなのか分からない超自然的な現象に直面する。
それは、「〇日後にあなたは地獄へ行く」という“告知”を受けた人間は“使者”により消される、というもの。
手に負えない現実を乗り越えるために人々が作り上げていく地獄を描く。
本当にぼんやりとしたあらすじで申し訳ない!
以前、訳したこちらの記事にあるように作中の人物たちも、読んでいる私たちも、地獄行きが決まってしまった人たちがどうして選ばれたのか、理由がわからないんです。
人生の中で出会う悩みや苦痛は「交通事故に遭うようなもの」。
告知を受けるのも同様なのです。
故に、告知を受ける人が他にいなければ自分が告知を受けることになるかもしれないという不安が募り、宗教的なものに惑わされることにもなる。
告知を受けてしまった人間は、決定打になるような理由が(本人ですら)わからないのに、周囲からの憶測などによりプレッシャーを与えられ(これは地獄からの告知も、“矢じり”によるリンチも、テレビやSNSの向こう側の一般人からのコメントも、当事者にとっては同等)、最終的に“殺されてしまう”。
これは『地獄』という作品の中だけの話ではなく、わたしたちの住む現実の世界でも起きていることではないでしょうか。
そんな現実の中でも希望の灯を絶やしてはならない―
最後の最後に守られたひとつの生命はこれからどんな道を歩むことになるのか……。
最後の4ページでヨン・サンホ節が加速。最後のコマで大きな息が漏れました。
全2巻で、2巻には完結記念ということで未公開カラーポスター入り。
その一部がこちら。
「漫画‘地獄’、楽しんでください」というヨン・サンホ監督かわいい。
2巻 裏表紙の言葉を見てみます。
彼女はこんな世界を創った責任が本人にあると思います。
だから、自分の手で捕まえたかったのだと思います。
自分の過ちを挽回する機会を……
世の中で自分の罪をあがなう機会を……
ポン・ジュノ監督 強力推薦!
鋭利で研ぎ澄まされたチェ・ギュソクの絵のスタイルは、現代韓国人の骨格と表情としわ等を優れて描写するレベルを超え、絵の中の人物たちが直面する不安と恐怖を、私たちの腑に落ちるように伝える天才的な境地に到達する。
“神のいたずら”または“巨大な無意味”という言葉では到底説明できない、真に圧倒的な恐怖の世界。
私たちは既にヨン・サンホ、チェ・ギュソクが描き出す地獄の真ん中で燃えている。
俳優・作家 パク・ジョンミン
嫌悪と排他、その比較的楽でまばらな感情を利用して、敵味方により分ける誰かとすれ違う誰か、そして、そのすべてにとって魔女になってしまった誰か。
ちょっと見でも漫画の中の話だけではないようだ。
地獄からの予言という“単純ながらも劇的な設定”ひとつで、本はこの時代の不安を明確に描き出す。
その上、面白くて危なっかしい。
『新 感染』と『フェイク~我は神なり~』の間にある視点のようにも感じられる。
意見さえ情報化されつつある世の中で、はたして私たちは何をどんなふうに信じているのか。考えてみるだけの時間をくれる本だ。
漫画評論家 キム・ソンホ
ヨン・サンホの『新 感染』は韓国社会を横断する映画だ。
チェ・ギュソクの『錐』は社会の不条理な面を鋭く攻める漫画だ。
駆け抜けていくものと突き刺すもの、柔軟な線と鋭い線の取り合わせが二人の新作『地獄』で広がる。
2巻通しで読んでみたところ、1巻=第1部、2巻=第2部という印象でした。
(1巻のメイン登場人物は2巻に出てこなかったり、1巻と2巻を跨ぐ人物がいたり)
NETFLIXということで映像には大きく期待できます。
公開が楽しみです!
第46回トロント国際映画祭が公式招待
2021年8月14日のニュースによると、第46回トロント国際映画祭プライムタイム部門に公式招待されました。
映画祭で上映される初めての韓国ドラマだそうです!
entertain.v.daum.net
『地獄』以外の実写ドラマ
ヨン・サンホ監督アニメ作品が原作の実写ドラマとしては『約束の地~SAVE ME~』があります。
こちらも時間をみつけて視聴していきたいと思っています!
このブログへの匿名メッセージはこちらから。
お返事はTwitter上でさせていただきます。
お気軽にどうぞ~。
marshmallow-qa.com