2019年9月。
人生で4度目の渡韓。
翻訳機の画面上に表示されたこの言葉に、思わず見入ってしまっていた。
体感的には5秒くらい時間が止まっていたように感じたけれど、実際には2秒くらいだったと思う。
翻訳機を差し出してくれていたのは、文通アプリを通じて3か月間メッセージのやり取りをしていたL氏。
先月のメッセージの中で9月に釜山に行くということを伝えたら、
「せっかく来てくれるのであれば私も釜山まで出るよ。でも、電話やSNSの連絡先は交換せずに時間と場所だけを決めてそこで落ち合おう。映画みたいに」
そんな提案をしてくれたのが事の発端だ。
日本を発つ数日前から、待ち合わせの日を何度もシュミレーションした。
まだ写真も見たことの無いL氏に渡すソンムル(プレゼント)を、想像力を働かせながら選んだ。
当日は待ち合わせ時間よりも1時間近く早く到着してしまい、公園の階段に腰かけて遠くの海を眺めて過ごした。
「だいさんですか?」
名前を呼ばれ、その声の主を探して周囲を見回すと、こちらを向いて立っている人がいる!
本当に映画のワンシーンみたいだった。
私が想像していたL氏とはだいぶ違うところもあったけれど、真面目そうで背が高いというのは正解だった。
ソウルから5時間かけて来てくれたというL氏と改めましての挨拶をして、拙いなりに韓国語でゆっくり会話をして釜山タワーに上った。
国際市場を歩き、海雲台ビーチまで足を伸ばし、食事をして―
その頃には翻訳機も交えての対話になってきていた。
食事最中に「もっと行きたい場所はないですか?」と聞かれた私は、既に満足している旨を伝えた。
そして、L氏から帰ってきたのが冒頭の言葉だったのだ。
「私を利用して、したいことを全部してください。」
翻訳機を通しているのでこんな文面になっているけれど「あなたの旅がよい思い出になるように自分が何でもしてあげるよ」って事だよね。
こんな事、私だったら言えるだろうか?
これが韓国人の気質か―
韓国カルチャーに触れていると「사람(人)」「사랑(愛)」という言葉をよく聞きよく見かけるようになるものだけれど、それだけこのふたつの事に重きが置かれているのだろう。
これまでの旅の中でいちばん、自分の中に飛び込んできた言葉で、今でもぴちぴちと、活きの良い魚のように心の中で飛び跳ねている。
L氏に出会えたことは幸運だ。
好きな映画を追憶するように、私はいま、この日記を書いている。
このブログへの匿名メッセージはこちらから。
お返事はTwitter上でさせていただきます。
お気軽にどうぞ~。
marshmallow-qa.com